2009年2月26日木曜日

略称スタバに入れなかった男のハナシ

男はその日、例によってフィルムセンター、伊東屋、アップルストア、MUJI、ビックカメラといういつもの徘徊コースをうろついていた。ちょっと小腹も空いたので、略称スタバでコーヒーとサンドイッチでもと考え、これまでも利用したことのある、とある略称スタバの店に足を向けた。
店内を見渡すとソファ席は空いていなかったが、通路側のカウンター席が一つ空いていたのでそこに座る事にした。レジで並んでいる客も見当たらない。
早速レジで注文を言ってお金を払おうと手にコインを握ったとたん、レジの女性スタッフが何やら言ってきた。

(店)「お客様、席はおとりでしょうか?」
(男)「いや、とっていないけどあそこのカウンター席が空いているみたいだから」
(店)「それでしたら、まず席をとってからにしてください」
(男)「うん、大丈夫だから、その必要はないよ」
(店)「ですが、まず先に席をおとりください」
(男)「もうレジまで来てるし、またわざわざあそこまで行くのもアレだし・・・」
(店)「でも、もしも席がありませんと大変ですから・・・」

客同士のトラブル防止のためなのか、接客マニュアルにそう書いてあるのか、そのスタッフは男に向かって、まず席を確保せよと言うばかりで、一向に注文に応じない。
たぶん席を巡って客同士がいざこざを起こすのを未然に防ぎたいがためなのだろう。そうなった時は客同士でなんとかすればいいわけで、店側のこの態度は大きなお世話以外のなにものでもない、と男は思う。
それに、せっかくレジ前まで来ているのに、再び通路側のカウンター席まで行って、荷物を置いて再度レジ前まで戻ってくるのは面倒だとも思う。そもそもこの男は、席に自分の荷物を置きっぱなしにするのはなんだか不用心だよなぁ、と考えるタイプだった。
しかし、目の前には、注文に応じてくれそうにないスタッフが使命感をもって立っているばかり。
このままでは埒があかないので、男はコインを握った手をポケットに戻し、注文をあきらめて、略称スタバをあとにした。
外の通りを歩きながら、今までよく利用していた略称スタバだったが、こんな経験は初めてだし、あの執拗な発言は何なのかと男は思う。
腹が減ってるせいか、だんだん腹が立ってきた男は、帰宅後に家で使用している略称スタバのマグカップを床にたたきつけた。しかし中途半端な怒りだったせいか、淵が少し欠けただけだった。
マグカップには何の罪も無いのに、無益な事である。
その後、男は問題の略称スタバ店だけでなく、略称スタバそのものに足を向けなくなった。
些細なことをいつまでも根に持つ、ウジウジした性格の男の、ささやかな抵抗だった。

3 件のコメント:

  1.  先に席を取れっていう店があるの!? 
     私は席取りそのものがあんまり好きじゃないのに!!

     いやいや、スタバって「感覚的に違う」感があったんだけど、確信に変わったかも。

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  2. これからは、タリーズだ!
    って、たいして違わないか(笑)

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  3. 僕は基本的に、混んでいるカフェと、並んでいる食堂には入りません。
    「AroundMe」は投入しましたか?

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