2012年3月25日日曜日

水芭蕉バナナ


その昔、すくなくとも僕が小学生だった頃、バナナは高価だった。
まさに果物の王様だった。
そして21世紀、バナナは果物の王様の地位から滑り落ち、市井の果物として、平凡な日々を送っている。
時々、雑踏の中で見かけるバナナの後ろ姿からは、彼が数十年前に果物の王様として君臨していた輝きは感じられない。

それはさておき、実はバナナの皮がうまくむけない。
元々不器用な上に、子供の頃憧れたバナナ様に対する畏敬の念からか、思い切って皮がむけないのだ。
おそるおそるバナナを手にして、そ〜っと皮をむくもんだから、細いスジだけが手元に残ることがある。
思い切ってエイヤっと力を入れたら、先っちょだけがポロッととれてしまうこともある。
一番多いケースが、なんとなくひっぱったり押したりしていたら、バナナの皮の中央部がパカッと割れて、中身が飛び出してしまう状態。
手元にあるその姿は、夏がくれば思い出す遥かな尾瀬の、水芭蕉のようなバナナ。

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