2015年1月14日水曜日

日本映画史横断⑤ 東映時代劇の世界・前半戦

東京国立近代美術館フィルムセンターで開催中の「日本映画史横断⑤ 東映時代劇の世界」前半戦で、まずは『大地の侍』を見ました。
東映時代劇といえばチャンバラのイメージですが、この映画は全篇チャンバラなし。
東北の某藩の殿様やら家老やら侍達が、明治維新の世の中で居場所がなくなり、皆で揃って北海道開拓に挑む物語なので、もはやチャンバラの世の中ではないと言う設定です。
主演は家老の大友柳太朗なんですが、老人役の加藤嘉が妙に印象に残ります。劇中でも名前ではなく”ご老人”と呼ばれています。この映画の撮影時にはまだ中年のはずですが、げっそりした頬で期待を裏切らずに堂々の老人役です。
女優陣では、三条美紀や杉村春子等、奥方役でいろんな人が出ています。
若侍加東大介の新妻役には高千穂ひづる。この頃の映画は、人妻役はちゃんとお歯黒スタイルです。
しかし映画の終盤では、このお歯黒もなくなっています。殿様も髷を切って長州力みたいなヘアスタイルになっているし、チャンバラの時代は完全に終わったのでした。
映画が終わると場内から拍手がパチパチ。
ここの名物(?)年輩者のイビキもなく、感動の一作なのでありました。

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