2010年11月4日木曜日

博ボラ日誌その19 コレは鉛筆削りデス


博物館ボランティア活動をしていると、思わぬ質問にでくわすことがある。
本日の衝撃度ナンバーワンの質問は
「コレは何ですか?」
30代の日本人女性が指さす先にあるのは、上のイラストのようなごくふつうの鉛筆削り。

館内の一角にスタンプを押してオリジナルポストカードを作るコーナーがある。
その作業机の上に、スタンプや鉛筆や鉛筆削りが置いてあるのだが、その鉛筆削りを指差して「コレは何ですか?」と聞かれたら、「コレは鉛筆削りです」と答えるしかないではないか。
もしかして、オジさんをからかってるのかと思ったらそうではなかった。
その女性は電動鉛筆削りしか見た事がないそうで、このイラストのような手動式の鉛筆削りは初めて見たという。

「じゃあどうぞコレで鉛筆を削ってください」
と、彼女のほうに差し出したら、
「どうやって使うんですか?」
という答えがかえってきた。
で、鉛筆を削る実演をお見せしたら、妙に感心されてしまい、こちらも面食らってしまった。
つい調子に乗って、
「昔の洗濯機も、この鉛筆削りと同じようにハンドルをグルグル回していたんですよ」
と話したら、怪訝な表情をされてしまった。
更に悪のりして、
「昔の電気製品で、冷蔵庫は電気じゃなくて氷で冷やしてたんだよ」
なんて言い出してしまい、さらにキョトンとした顔をされてしまった。

戦争体験のようなたいへんな出来事でさえ、なかなか次の世代に伝わらないのだから、このような些細な事が世代を越えて伝わらないのもしかたないかと、妙に納得してしまう。
そんなわけで、久しぶりに鉛筆をガリガリ削る感覚を手に残して、博物館ボランティア活動の一日は終わるのだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿