2014年4月5日土曜日

マンガ全席第33話【家出少年に説得】


かけだし漫画家の小津クンにも少しはファンがいる。
中には単なるマンガの読者でなく、漫画家志望の少年もいる。
そんな漫画家志望少年にとって、天才的な漫画家に対しては「ああなりたいな〜」という憧れだけだろうが、小津クン程度の漫画家なら「これくらいならボクでもなれるんとちゃう?よしなろう!」と思えてしまう。
ある日の事、漫画家志望少年が家出をして小津クンのところに向かっているとの連絡が警察から入って来た。
面識はないものの、何度か手紙のやりとりをしたことがある少年だった。
そんな手紙の中で小津クンは「キミはなかなかセンスがあるから何かあったら訪ねておいでよ」なんてテキトーな事を書いていたもんだから、それを真に受けた少年が家出して、向かっていると言うわけだ。
来てもらっても、昔の徒弟制度の時代じゃないから弟子入りなんてこともできないし、そのうちアシスタントを頼むかもしれないから、今日の所はひとまずウチに帰ってね!なんて説得しようとあれこれ考えていたがその必要は全くなかった。
雑誌に掲載されている住所をたよりに小津クンの住むアパートにやってきた家出漫画少年は、そのあまりのボロっちさにガッカリして、そのまま家に帰るのだった。ある意味、小津クンがグダグダ言うよりもよっぽど説得力のあるのが今の小津クンの生活ぶりだったのだ。とは言っても、小津クン自身はそれなりに楽しんでいるんですけどね。

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