2014年12月26日金曜日

映画監督・千葉泰樹特集」後半戦

東京国立近代美術館フィルムセンターで開催中の「映画監督・千葉泰樹特集」後半戦は、まだ『羽織の大將』しか見ていない。
この映画、何の予備知識もなしに見たのだが、今まで見たベスト10に入ると思えるくらいの映画だった。とは言え、ベスト10のうち残りの9本は何かと問われても、すぐには言えないのだが。全体を通して通俗的にカッチリ作ってあってわかりやすい映画なのに、時々ヌーベルバーグ風味のシーンがあったりもして、いろんな意味で楽しめる。

大学卒で落語家になるフランキー堺の、卒業間際の就職運動(この頃は就職活動とはいわなかった)、落語家入門から見習い、二つ目、破門、復帰の数年間が、兄弟子の桂小金治(落語を演じるシーンあり)や、ラーメン屋の店員団令子(キュート!)、妹の原知佐子(可憐!)、芸者の塩澤とき(ゴージャス!)等とのからみで描かれる。

早めに入門しないで、大学を卒業したことを後悔するフランキーに対して、「前科は消せねぇよ」と諭す小金治のセリフが面白い。
その後、落語からだんだん離れてテレビやラジオで売れていくフランキーに説教する兄弟子の桂小金治だが、実際の小金治が落語から離れてテレビや映画で売れていくのだから、このやりとりちょっと複雑ではある。フランキーが落語以外の仕事をたくさんこなすなか、ドラマの中で絞首刑になる役で「私は貝になりたくない」とつぶやくのも笑わせる。

なんだかんだあって、小金治が死んでしまい、遺影の前でご焼香代わりに一席演じるフランキーが泣かせる。ボクの隣の席でイビキをかいていたジーさんも、この場面ではなぜか目を覚まして泣いているのが、映画とは関係なく面白かった。
やがてハネ太鼓が叩かれ、「おわり」の文字が画面に。
おあとがよろしいようで。

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