2011年7月3日日曜日

さあ、気ちがいになりなさい

早川書房から出ている、異色作家短編集2が、このフレドリック・ブラウン著『さあ、気ちがいになりなさい』。
邦題に「気ちがい」の文字が堂々と入っているのも、いまどきの過度な差別用語自粛(萎縮かも)ムードの中では清々しい。
ちなみに原題は、「Come and Go Mad」。
よくできた古典落語の、それも前座さんがやるような軽めの噺を、熟練の師匠がさらっと演ったような、粋な一冊。
12編の収録作品のうちいくつかは、往年のボーイズライフ誌で読んだような気がするが、単なる勘違いかもしれない。
ボーイズライフは1960年代中頃の雑誌で、それより以前の海外SFが掲載されたと記憶しているから、フレドリック・ブラウンの作品があってもおかしくはない。
訳は星新一。これだけでも読む価値あり。

収録作の中で、このご時世だからか印象に残ったのは「電獣ヴァヴェリ」。
いろいろあって、地球上から電気がなくなる物語。
原発推進勢力が昨今大合唱する停電の脅かしどころじゃなくて、電気そのものがなくなる世界はどんなところになるかというのがキモ。
その結果地球滅亡なんてことはなくて、なんとも牧歌的なオチでほのぼのしてしまうのがブラウン作品らしくて良い。
尚、よっぽど地球滅亡の原因になりそうな原発を食ってしまう原発獣が出てくる作品はありません。
ここはひとつ、現実に出てきてほしいもんだが…。

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