東京国立近代美術館フィルムセンターで開催中の「日本映画史横断⑤ 東映時代劇の世界」中半戦で『歌舞伎十八番鳴神美女と怪龍』を見た。
主演は若き日の乙羽信子。脚本はもちろん新藤兼人。
ボクが子供の頃見た乙羽信子さんはすでに立派な中年女性だったので、この映画での若き日の乙羽信子さんを見るのはある意味新鮮だった。
その他の出演者では、若い坊主役の殿山泰司(まだ若いはずなのに晩年のイメージそのまま)、暴れる僧兵の親玉に吉田義男(野球界の吉田義男ではない)などの懐かしい顔もチラホラと。
スクリーンの若き日の乙羽信子、途中から誰かに似ているな〜と思い始め、ふと気付いた。
小泉今日子に似ているのではないかと。
ということは、小泉今日子の晩年の姿は乙羽信子似になるのだろうか。
この二人が似ているなんて今まで全然考えもしなかったが、突然この二人の顔が重なって見えてきた。
このイラストもそういえば乙羽信子というよりもキョンキョン風になっている。
なにっ?どちらにも似てないって?ほっといてくれ!どーせ似顔絵は得意じゃないよ!
まっどちらにしても映画の内容と、この件は何も関係はない。
イラストで乙羽信子扮する姫が手に持っているのは恵方巻ではなく、安倍晴明も解読出来なかった古文書巻物。
この巻物に旱魃で苦しむ農民達を救う龍を出現させるヒントが書いてあるのだが、もちろん姫も読めない。実は龍が現れないのは鳴神上人が法力で龍を水中に閉じ込めているのだが、そこは美貌の姫君、ちょっとしたお色気作戦で鳴神上人の法力をみごとに打ち破る。
ある意味主役でもある怪龍くん、法力が途切れたり回復するたびに、何度も水中から出たり引っ込んだりして、恐いと言うよりも可愛らしい。
この会場、いつもは既に毛髪が少なくなった人や、あっても白くなっているような人ばかりの客席なのに、なぜか今回はブラックロングヘアの若い女性の姿も見受けられ、いつになく華やいだ雰囲気が漂っていたが、フィルムセンター名物の「暗くなったらスイッチが入って大イビキのオジーさん」は健在で、やはりここはフィルムセンター。
開演5分後には盛大なイビキがきこえてきた。
それでもたいていは途中で静かになるのに、今回は時々「フガガガ…」といったかと思うと急に静かになり、やおら「フンガッ!」というタイプで、無呼吸症候群というのか、あまり静かだと逆に心配になってしまうようなイビキが延々続くのだった。
てなわけで、イビキをBGMに古い映画を見るというのも、フィルムセンターの醍醐味のひとつかも知れないと思うのだった。
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